交渉力を持っていますか?
世の中には交渉がうまい人が確かにいます。
そこで今回は、主人は自称、交渉力があるみたいなので、
主人との会話を録音して書き下ろしてみたいと思います。
交渉力がある人の交渉の現場のリアルストーリーです。






ただ今はそういう仕事は受けないから。

面白いと思うから交渉力について話してよ。

好評だったということだな?




交渉力というスキルは要するに、
相手に自分の主張を通して認めてもらうことだと思うんだよね。


という意味では君のクライアントさんにとっては
あまり必要のないスキルかもしれないな。


凄腕の営業マンの上司に教えてもらったことに始まる。


その人は営業力だけじゃなくて
交渉力も半端なかった。
実は交渉力を持っていると
住宅を売ることもできるんだよ。


できない土地を持っている人がいたとして、
営業マンが役所と交渉して建築の許可を取れた場合、
その人は家を建てられるようになる。




とあるお客さんが展示場に来られた。
東国原さんにしよう。


僕にこう告げたんだ。
「実は土地はあるんですけど、
家が建たない土地みたいで
建てたいんだけど建てられないんですよ。」


どうして建てられないんですか?って聞いたら、
たくさんの住宅メーカーを訪ねて、
営業マンと話をしているけど、
営業マンが役所に行って役所の人に聞いてみると、
「この方の土地には建築許可はおろせません。」
って言われてしまうらしい。

家を建てることは無理なんじゃないの?

展示場から帰られた後、
上司の“北野さん(仮名)”にそのお客さんの話をしたんだよね。


って北野さんが言うのよ。


役所に行って “交渉” してみないとわからない
って北野さんは言うわけだ。


とんでもない営業マンでその時の僕の上司だった。
それで一度、北野さんと僕で
東国原さんの自宅を訪ねることにしたんだ。


家のチャイムを押すとご主人さんが出てきた。
それで今までの家が建てられないと役所に
言われた経緯を聞いた。
そこでわかったのは公図上、
接道が確認できないために
建築は無理と判断されているらしい。


その土地が道路に接していないと基本、
家って建てられないんだよ。


東国原さん宅を訪ねた足で
北野さんと僕でその土地を見に行ったらさ、
その土地はちょびっと道路に接しているわけ。


国が管理している地図みたいなもので
区割りされていて法務局に行くと公図が取れる。
でもその公図と実際の土地があっていないことも
たまにあるわけよ。


接道しているようにも見れるし、
見えないようにも見える。
ただ、公図上は完全に接道はしていなかった。


公図を取って役所に持って行っても
役所の担当者から拒絶されていたんだよね。


「倉地さ、東国原さんの家、建つかもしれないな。」
ってニヤリと僕に言うわけさ。


役所には“建築指導課”っていう部署があって、
そこの部署が建築の許可を下すか下さないかを決めている。


話を聞くことにした。
するとある女性の担当者が対応してくれた。
20代後半の方だったと思う。
北野さんが公図をもとに東国原さんの
状況を話すとその女性担当者がこう言った。
「この土地、いろいろな方が聞きにくるんですけど、
家を建てるのは無理ですから!」

聞きに来ていたわけね。

「確かに公図上は接道していないですけど、
実際の現場では接道しているように見える。
そのあたりを確認頂くことはできませんか?」
そうすると女性担当者が強めに、
「公図で接道が確認できない場合、
許可は下ろせないのが決まりですから
現地を確認することはできません!」
って強めに返した。

嫌になってたんだろうね。

「誰も許可を下ろしてくれ
なんて言ってないですよ。」
「現況が公図と違うことがあるので、
一度現地を見てもらうことはできませんか?
ということをお話ししているんです。」
そうしたら担当者が、
「役所ではそういう “決まり” なので、
私たちが現地を確認することはできません!」
と声を荒げた。


いわば納税者の方の代理人です。
言ってみれば納税者”が、公図と現況の違いを確認してくれないか?”
と頼んでいるのに、
決まりなので出来ませんの一点張りですか?
私たちは今日のやりとりを納税者である東国原さんに
報告しなければならない。
それを聞いて納税者である東国原さんはどう思われますでしょうか?」
納税者連発。
でも僕ら別に東国原さんに頼まれて
役所にきているわけじゃないんだよ。

でもそういう事言われると役所の人間としてはきついよね。

泣き出しちゃってさ。


そしたら奥にいた上司の男性の方が現れて、
「どうされましたか?」
って尋ねられて今までの経緯を話した。


「現地を見てくれませんか?」ってお願いしただけなんだけどね。
5分くらい話したかな。上司の方が、
「ここだとあれなんで奥の別室で話しましょう。」
って僕らを別室に誘導した。


別室で北野さんがその上司の方に、
「国は社会福祉の増進を図ることが
憲法にも明記されている。」
「そして公務員はこの憲法を尊重し
遂行することが義務付けられている。」
「公図と現況が明らかに違うことを
現地に行って確認できないって、
それって公務員の職務を全うしていると言えるんですか?」


そしたらその上司の方が、
「いやいやいや、現場を見れないということではなく、
そういうことでしたら一度現場を見させてもらいます。」
ってなって、
「だったらこの足で一緒に行きましょう。」
って北野さんが主導して結局、
役所の車で女性職員の人と上司とで現地に向かった。


現地で職員さんに、東国原さんの土地が、
接道している可能性があることを確認させた後、
そのことを踏まえ建築許可が下ろせるかどうかを
再度検討することの約束を取り付けた。


代理人できているという自負。
実は代理人ではないんだけど(笑)


「東国原さんの土地ですが、
今回に限り建築を認めますが、
例外になりますので他の建築業者さんには内密でお願いします。」
って報告があった。


訪問し建築許可が取れたことを報告した。
びっくりされていたね、東国原さん。


僕らが許可を取っちゃったものだから、
東国原さんが強気になって、
それならメーカーを色々と選ばせてもらうってなっちゃって。


欠けていたばっかりに・・。
断られた。


家が建ってないところを見ると
他のメーカーでは本当に役所は、
建築許可を下さなかったかもしれないと思う。


反省・・


うん。まず交渉次第で不可能なものが
可能になることがあること。
“決まりです” って言われると
何も言い返せなくなりがちだけど、
“その決まりごとって誰が決めたのか?”を
探れるようになったこと。
あとはお客さんの立場になって
物事を本気で考えられるようになったね。


その後、会社を立ち上げたり、
親の会社を立て直したり、
クライアントさんと銀行や役所との交渉をまとめたり、
もし北野さんが“僕に交渉力とは何か?”ということを
教えてくれなかったらと思うと
できてこれなかったことはたくさんあるよ。


クライアントさんに営業力を教えているわけだから。


建てることができないわけだからね。
日本人って決まりごとに弱いと思うんだよね。
でも実は決まりごとって
くつがえせるんだよ。“交渉力” でね。
人の心を動かすことができれば不可能も可能になる。

営業力で人の心を動かす方をこれからも教えていくよ。

交渉力なんて使うことがあまりない方が良いよ。

理解できた気がするよ。
まとめ
さていかがでしたでしょうか?
習い事の講師の方で交渉力が必要な
シチュエーション自体が少ないのかもしれませんが、
世の中には交渉力に長けている人がいて、
その人たちがどういう視点を持っているのか?
そんなところを少しでもお伝えしたくて、
主人から話を引き出してみました。
もしあなたのビジネスで生活面で
生かせるところがあれば生かしてみて下さいね。