今日は営業のコツ、極意を一日で身につけたお話をしてみたいと思います。
と言ってもこの話は私の主人の実話です。
“営業力とは何か?”
私も仕事でセールスの事を教えている立場として伝えたい、
“営業という仕事を理解するヒント”がその話の中にはあるので、
インタビュー形式で少しお話してみようと思います。
主人との対談を録音してみる
※この話は昨日、酔っ払った主人を捕まえて対談したものを
録音し文字起こししたものですが、
お聞き頂ければ嬉しいです。
ちなみに私の主人は結構しょーもないです^^
今日、我が家では知人とバーベキューをしていたのですが、
その時主人に、

なんか今、バーベキューを用意も何もしないで現地に出向いて、
何も持たないで手ぶらで楽しめるサービスが人気なんだって。
便利だよね?
と聞いたら、

バーベキューを焼いてくれるサービス?
それ最高だな。
と下ネタを返してくるほど本当にしょーもないのですが^^
仕事面(セールス力とかコピーライティング力とか)は多少尊敬しています。
そんな主人の営業時代のエピソードが面白いので
バーベキューの後、主人との会話を録音してみた内容になります。

二人契約した話をもう一回話してよ。



あんな話、役に立つんかね?




22歳の時に新卒で、東京で新築マンションを売る営業を
していたんだけどさ、
半年でやめて大手住宅メーカーに転職したわけよ。


君に言うのはちょっと気がひけるんだけど、
僕には満点の彼女がいたんだな。


結婚まで考えていた。
だから転職した大手の住宅メーカーの配属先が愛知県に決まっても
当然、彼女は一緒についてきてくれるものだとばかり信じ込んでた。


豪快にふられたんだな。

愛知に職場を移すなんて戸惑うでしょ。

勝手に愛知に行くことを決めたし、
僕が若すぎたね。
ただ本当にぞっこんだったから、
あまりのショックで頭がおかしくなりかけたよ。


どうやって新幹線に乗ったかも覚えていないほど、
精神錯乱状態だったね。
とにかく横浜で新幹線に乗り、
席についてもただただ涙が溢れてきて泣きじゃくった。
そしたらさ、おばさんが声をかけてくれて、
ハンカチを渡してくれてさ。


その指にさ、お祭りの屋台で売っている
ミドリガメの甲羅くらいの大きさのエメラルドの指輪が光っててさ。
そこ、グリーン車だったんだよね。
あまりの精神錯乱状態でグリーン席券も持ってないのに、
グリーン車に勝手に乗っていたという・・


「男がここまで泣き崩れるのは女やろ。泣くだけ泣けばいい。」
とか言ってくれて名古屋までのグリーン券をおごってくれて、
それに甘えてずっと泣いていた。ちなみにそのハンカチもくれた。バーバリーだった。

お金持ちってそういうことによく気付くよね?

彼女にふられた次の日が
大手住宅メーカーの展示場に配属される日だったわけ。


やけ酒に付き合ってくれたけど、
どんなに飲んでも酔わないんだよ。
あの精神状態は後にも先にもあの時しかなかったな・・。


何もかも失うような気がして、無理に出社したんだけど、
亡霊だったね亡霊。完全に精神病。うつ状態。


「今までで一番暗い奴が入って来たって思った。」って。
一言も喋らなかったらしい・・。


そういう時に限って、お客さんがどんどん来るわけ。
で、店長が、
「新人は展示場の中で隠れて先輩の接客を聞いて勉強しろ。」
って言うから隠れて僕は展示場の洗面所に居たんだけどさ、
鏡を見たら、自分の姿がグワーンって。


ショックで顔がグニャって曲がるやつ?


そんな時にさ、悪いことは重なるもので、
たまたまお客さんが展示場に一気に来ちゃって、
ベテラン営業マンも女性社員もお客さんに取られちゃって店長がさ、
「倉地、なにもわからないだろうけど、
人が足りないから接客に出て。」
って言ったわけさ。


顔がグニャってなった状態ですよ。
でもモデルルームの玄関に新しいお客さんが入ってきちゃったから、
とりあえず応対しようとしたんだ。


ご夫婦で赤ちゃんを抱いてモデルハウスに入ってきた。
そんでもってハウジングセンターで、
アンパンマンショーをその日やってたから、
アンパンマンの風船を持っていたわけ。


僕の視界にはアンパンマンの風船しか入ってこなくて、
ついそのご夫婦にこう言っちゃんだ。
「こんにちは。今日はアンパンマンを見に来られたんですか?」
って。


「いやいやいやいや、家を見にきたんですけど!」
って全力で否定されてさ。

アンパンマンを見に来られたんですか?って聞かれたら(笑)。でどう答えたの?

「え?家を見に来られたんですか?
すみません。僕、昨日彼女に振られて、
案内どころじゃないんですよ。すみません。」
って答えてた。


その時にさ、子供を抱っこしていた奥さんが、
「振られちゃったんですか?顔色悪いですよ。
相談に乗りますからちょっと座ってください。」
って僕にソファーに座るように促してくれた。

普通は営業がお客さんをいかに着座させるか、
住宅営業では “着座率” とか見られるのに、
逆着座!?お客さんから!
もはや話があべこべじゃん。

ご主人と奥さんは、僕が彼女に出会った経緯、
数々の思い出、そして昨日振られたことなんかを親身になって聞いてくれた。


旦那さんも号泣。3人でソファーを涙で濡らしたよ。


そしたら奥さんが昔のご自身の大失恋のことを話し始めて、
ご主人が「そんな話、俺も初めて聞くぞ!」
みたいな話になって、そしたらご主人まで、
過去の失恋のことを話してくれて夫婦で、
「でも大丈夫。俺達みたいに倉地君もまたいい人にきっと出会えるから。」
って僕を慰めてくれた。


思ってたと思うよ。


そうしたらご主人が、
「あれ?なんでこんな話になってるんだっけ?
あ?そういえば俺たち家を見にきたんだ。」
って我に返って、
「実は来週、Tホームで契約予定で、
内装の参考にちょっとここの展示場も見たいと思って入ったんですよ。」
って話された。
その時に奥さんからこう言われたんだよね。
「倉地さんと喋っていて気づいたんだけど、
Tホームの営業マンより倉地さんの方が信頼がおける。
私、倉地さんで契約したい。」
って。


でも僕は入社一日目だから設計図も見積書も書けない。
だから、ご夫婦に、
「ちょっと待ってくださいね。」
って言って、展示場内の事務所に戻った。


「長い間、あのお客さんと何を話しているんだ?」
って聞いてきたから、
「あのー、お客さんが契約したいって言ってるんですけど。」
って告げたんだ。


店長、この時に、
「でかした!」
って言ったんだ。
それですぐに店長を横に座らせて、
今度は “家の打ち合わせ” をご夫婦とで開始。
「今夜、見積もりと図面を持っていきます。」
ってアポイントを取ってその時の接客は終わった。

新人の一人目のお客さんでそんなこと起きないでしょ、普通。

その夜、店長に図面と見積もりを作ってもらって、
再度、そのお客さんの自宅で夜に打ち合わせした後、結局三日後に契約。
入社三日目に契約した人は初めてだったらしい。


この日の展示場はほんとおかしかった。
とにかくお客さんが押し寄せてきて、
僕はさっきの夫婦の他に、
もう一組のご夫婦の接客に対応しなければいかなかった。
そしてその二組目のお客さんも2週間後に契約したんだよ。


この日をきっかけにコツを掴んでしまった僕は、
その後も契約し続け、入社一年目で全国の営業成績で一桁の成績を残してしまった。
二組目の方も接客方法は失意の中に行ったものだから
やり方はほぼ同じだったんだよ。お涙頂戴の。


ちょっと考えられない精神状態で体験したあの日に
営業がどういう仕事か?ということを理解できたことが大きい。
だからその後も売れることができたんだよ。


売り込まれる、売りつける、
といったネガティブなイメージがあるじゃない?


売りつける、売り込むというものでは心が動かないし、
大事なのはそんな事ではないことがわかった。
その人から買いたいって思ってもらうことが最重要ってこと。
理屈は君のビジネスでクライアントさんに教えていることなんだけどね。

自己開示 → 気に入ってもらう → クロージング
の順で行う必要があると教えてるんだけど、
このステップのこと?

そう。特に最初の自己開示が一番重要。
僕の例で見ると、僕は失恋で仕事どころではなかった。
そんな僕を見て思わずご夫婦は同情に近い感情を抱き、
僕らの関係はフラットになった。
そして僕の壮絶な失恋体験を聞くことで、
ご夫婦は僕という人間を理解することができた。
ここが営業の手順でいう自己開示ね。
そしてそれと同時にご夫婦は過去の自分の失恋体験に
僕を投影させることで僕のことを気に入った。
ここが気に入ってもらう。
要するに少し特殊な状況だったとはいえ、
僕は自己開示と気に入ってもらうという二つのことを
無意識にそのご夫婦に行っていたことになる。
そして気に入ってもらうとは、
商品ではなく自分という人物を
気に入ってもらう作業をしていたことがポイントなんだよね。

自分という人物を気に入ってもらうことが重要だということだよね?

僕に負けてしまったTホームの営業マンみたいなことが起こるんだ。

商品ではなく自分を気に入ってもらうことを
常に頭に置くようにと教えるけど、
でもそのことをするにはみんながみんな失恋をするわけにはいかないよね?

自分を気に入ってもらう方法はいくらでもあるよ。
僕があのご夫婦に気に入ってもらえた時にヒントがある。


感情が強く動いた時のものであればあるほど、
親近感が湧く。
悲しみ、苦しみ、楽しみ、欲望なんかだね。
この人なら私のことをわかってくれる。
この人なら信頼がおける。
この人から買いたいと思ってもらうことこそ
営業の極意だよ。


あの失恋で得たものは営業力だけじゃないからね。

赤裸々な話をありがとう。
営業以外のことはまた長くなりそうだから別の機会に聞くよ。
まとめ
はい。ちょっと長くなってしまいましたが
いかがでしたでしょうか?
主人が失恋の淵で手にした気づき。
営業の本質を思わぬ形で発見した例として
紹介してみました。
営業力というのは、習い事の講師でも、
コンサルタントでもどんなビジネスをしていても
求められる必須能力です。
そしてその能力は決して、
売り込む能力ではないということが
主人の話からなんとなくでもご理解頂けたのなら幸いです。
セールス力とは相手から欲しいを引き出すスキル
売り込まれてると思われていたら売れないこと
これからも女性らしい自立を目指す方に、
セールス力を教えていくのが私の仕事だと思っています。
本当の意味でのセールス力を身につけて、
健全なビジネス、健全なお客さんとの関係を構築していきたいものですね。
最後までお読み頂き有難うございました。
とても楽しく読ませていただきました。
営業のことを勉強しようと思い、検索したらこちらの記事が出てきたので読み始めましたが、
一番心に残ったのは、ご主人様の失恋話。
私も今失恋したばかり。
読みながら涙が出ちゃいました。
分かる。分かる。失意のどん底。仕事なんてしてる場合じゃないの。
でも、私も働かなきゃいけない。
だから、この記事に出会えてよかった。
本当にありがとうございます。
ご主人様にどうぞくれぐれもよろしくお伝えください。
とても励まされました。
大失恋しても、いつか素敵な人にまた出会えるということ、信じて頑張ります。
本当にありがとうございました。
コメント有難うございます。
大きく成功している人の本とかを読むと、人生最大のピンチがあったらこそ今があるって必ず言いますけど、ピンチを失敗だと思うか、成功のためのチャンスと思うかで人生は変わってきますよね。
精神的ショックを受けている時にそんなことを言われてもなかなか響かないですが、心が常に穏やかであれば、どんなことでもプラスに働きますので、この記事で少しでも心に安らぎを感じてもらえたなら幸いです^^